“ロペ-オカンダの生態系と残存する文化的景観”は2007年に世界遺産として登録され、ロペ国立公園が遺産の多くの割合を占める。未開の自然と多種にわたる生物がそこにあった。
ロペ村
翌朝の遅い時間に、ロペ駅でリーブルヴィルに戻るチケットの購入とロペホテルでツアーを予約するために部屋を出た。駅とロペホテルに行くためには村を通過するので、軽く村を散策しながら、駅とロペホテルへと向かう。ロペ村は周りを山に囲まれており、村内のどの道も舗装されていなかった。村のどこでも緑が溢れ、ヤギが歩き回り、村はずれではバッファローが悠然と草を食べていた。後にロペ国立公園を案内してくれたツアーガイドによると、ロペという地名は公園内にある川の名前にちなんで付けられ、そのロペ村にはおよそ800人が生活しており、全員が顔見知りとのこと。
ロペ駅まではロペホテル別館から歩いて15分程で、プラットフォームの裏側にあるチケットカウンターにて12月7日の深夜1:32発のリーブルヴィル行きチケットを購入した。チケットカウンターは現金支払いのみで、駅員の人はフランス語のみで英単語もいくつか拾えるぐらいだった。幸いペンと紙を持ち歩いていたので、何とか希望する(トイレから遠い)座席のチケットを購入することができた。現地の言葉が話せない場合、ペンと紙は必須。
その後駅から30分ほど歩いて、ロペホテルにツアーの予約をしに行った。ロペホテル別館を含むロペ村の全てがロペ駅の南側に位置しており、北側にあるのはロペホテルのみなので、北側の景色は自然溢れる綺麗なものだった。ロペホテルに向かう途中、後にガイドをしてくれるRemy Nkombeと偶然会い、一緒にロペホテルまで歩いた。ホテルに着くなり、ジェネラルディレクターのEvelyne Doumbaと挨拶しツアーの説明を聞いた。ロペホテルで開催している3つ全てのツアー(4×4サファリツアー、森林散策、山登り)に参加する予約をし、4時のサファリツアーの準備をするために、Remyが別館まで車で送ってくれた。その途中、駅前にある商店に寄ってくれたので、食料と飲み物も少し買うことができた。缶詰の食料とパッションフルーツの炭酸を買ったけど、どれもリーブルヴィルのスーパーよりも高かった。ロペに来る前にリーブルヴィルで十分な食料と飲み物を購入すると出費を抑えることができる。
ロペでのツアー
ロペに滞在中、Remyがロペホテルの唯一のガイドだった。そのため、ツアー時間や内容は比較的限られており、下記の3つのツアーが提供されていた。
- 4×4サファリツアー
- 森林散策
- 山登り – Brazza山
実際のツアー内容は天候により変更になる可能性がある。しかし、4×4サファリツアーは終始車に乗っているため小雨程度でも開催可能で楽しむこともできる。山登りは晴天の早朝以外だと快適に楽しむことが難しい。
各ツアーともに料金が一人20,000XAFだが、一日に2つのツアーに参加することで、ツアー料金が各15,000XAFに下がる。今回は2日に分けて3つのツアーに参加したので、一人50,000XAFだった。
Evelyneによると、たくさんの観光客がロペホテルに宿泊するとともにツアーにも参加するとのことだが、今回の滞在が月曜と火曜だったこともあってか、他の観光客を見ることはなかった。そのため、参加した全てのツアーで特に追加料金無く、プライベートツアーを満喫することができた。ロペ国立公園にたどり着くのは簡単ではないが、サファリの料金も安く、観光地化もあまり進んでいないので、少人数でサファリを楽しむことができるのが魅力。
4×4サファリツアー
所要時間:およそ2時間
12月5日の午後4時に、Remyが運転手とともにホテルの別館まで迎えに来てくれた。10分程、車を走らせると、ロペ国立公園のゲートと細い木製の橋を通過し公園内へ。道は未舗装でかなりデコボコだったが、景色は一面緑でとても綺麗だった。典型的なアフリカの印象である乾燥した地肌の見えるサバンナとは大きく違い、ロペのサバンナは水気を多く含んだ深緑のサバンナだった。ガイドによると、ロペ国立公園の面積は4,970㎢もあり、森林地帯が低湿地帯のサバンナを徐々に飲み込もうとしているらしい。そのため、毎年7月から9月の間にサバンナに火を放ち森林の侵攻を防いでいる。火の中でも、ファイヤーツリーと呼ばれる植物等は根の中に大量の水を蓄えているため、根が死ぬことはなく、火が過ぎると、ファイヤーツリーは新たに赤い葉をつけ、その後葉の色を緑に変える。多種多様な植物と動物を要する広大なロペ国立公園を管理するのは大変で、規模的には最低40名のパークレンジャーが必要だが、2016年12月時点ではRemyを含めたったの15人しかいないとのこと。
Remyの目の良さには驚かされ、バッファロー、丸耳象、チンパンジー、猿、数々の鳥たちと次々とたくさんの動物を見つけてくれた。動物まで距離がある時は、ガイド持参の双眼鏡も貸してくれ、じっくりと野生の動物を観察できるようにしてくれた。事前に準備ができるなら、双眼鏡を持参するとサファリをより一層楽しめると思う。ツアー中は動物ばかりを探すのではなく、川のある綺麗な景色の見れる場所に案内もしてくれた。Remyの英語は流暢で、動植物やロペについての知識も豊富なガイドだった。
実際のツアーは2時間以上あり、ホテルに戻る頃にはすでに日は暮れていた。たくさんの綺麗な景色に多くの野生動物も見れて、大満足で初サファリを終えた。
森林散策
所要時間:およそ2時間
翌朝(12月6日)7:30、サファリツアーと同じガイドのRemyと運転手が宿泊先のホテルまで迎えに来てくれた。15分ほど車を走らせ、公園内にある森の1つの前に停まった。ガイドについて車を降り、いざ森の中へと歩いていった。森の中では、象やバッファローの足跡に加えて、多種多様な植物の説明を受けた。ガボンの果実と呼ばれるものや、象などの動物の好む果物、病気や怪我の治療に使われる植物等々。Remyによると、ロペには多種の植物や草食動物いるが、肉食動物はいないらしく、車を降りて森林内を歩いても安全とのこと(もちろん草食動物に気をつける必要もある)。
森林散策には決まったルートがある訳ではなく、その都度見つけた獣道を歩いていくため、枝が多い茂みの中を歩くことも多々ある。しかし、ガイドが常に道を作りながら前を歩くので、歩きやすいように配慮してくれる。森の中では目の前の風景はもちろんのこと、植物の匂いや実際に触ることによってロペの大自然をより近くに感じることができた。また、森の中に足を踏み入れた瞬間にはっきりと空気が変わった。植物の匂いが強くなり、湿度もサバンナに比べ高くなるのを肌で感じた。森の中では野生動物を見ることはなかったが、それでもロペの大自然の中で時を過ごし、手つかずの自然を肌と頭で知る素晴らしい経験だった。
山登り – Brazza山
所要時間:およそ2時間
森林散策と同日の午後3時、ガイドと運転手とともに山登りのために登山口まで車で向かった。山頂は標高310m程しかないが、登山道はとても細く歩き易いとは言えないものだった。道中は常に山の側面の傾斜を歩くため、ロペの自然をいつでも遠くまで望むことができた。国立公園の他にもロペ村の全貌やロペホテルの隣を流れる大きな川まで、広範囲のパノラマを楽しめた。ロペ国立公園の広大さ故に、山頂からでも全貌を見ることはできなかったが、それでも森林とサバンナの境目が見えたりと前の2つのツアーから学んだことを上から見ることによって、より理解が深まった気がした。下山中にも、山間に生い茂るたくさんの木々やカンムリエボシドリと呼ばれる綺麗な青い珍鳥のつがいが木々の間を飛んでいるのを見ることもできた。
登山道の数カ所がとても滑りやすく急斜面で登りづらいところがあった。登る時は気をつければ問題なかったが、下りる際にはかなり怖かった。特別な登山靴までは必要ないと思うが、滑りにくい靴は必須だと思う。また基本だが、荷物もあまり多くを持って行かず、常に両手が空いている状態で歩くことが必要。
ロペ村(深夜列車まで)
ツアー後、ロペホテルの別館まで送ってもらい、列車の時間まで食事と休憩を取った。山登り前に部屋をチェックアウトしなければいけなかったため、シャワーを浴びることはできなかった。しかし、外の蛇口の水は使ってもいいと言われたので、タオルで体を拭くことはできたので、かなり助かった。
深夜近くになると、ツアーと同じ運転手が車で迎えに来てくれ、駅まで送ってくれた。駅までの道中で、ガイドのRemyがいたので一緒に駅まで見送りに来てくれた。
情報
宿泊施設
ロペ
ロペホテル別館(Annex)
料金: 25,000XAF / 一泊 / 一部屋
チェックアウト: 12pm。頼めば、多少の融通を利かせてくれる。
WiFi: 無し
アメニティー: 無し
食事: 別料金。朝食が一人6,000XAFだが事前に予約が必要。
部屋はシンプルで綺麗だった。ダブルベッドとクローゼット、小さいテーブルが備え付けてある。シャワーから温水は出なかったが、訪問時は夏だったこともあり、特段問題はなかった。再度ロペに行く機会があれば、同じ場所に滞在したいと思える部屋だった。
ホテルのジェネラルディレクターEvelyneは英語も流暢に話せる。またリーブルヴィルにロペホテルの事務所があり、そちらでホテルとツアーの手配をすることもできる。ホテルのサイトとホテルのfacebookページもある。
ロペホテル
ロペホテルのリーブルヴィル事務所
交通機関
トランスガボン鉄道
鉄道の詳細に関しては、前の投稿のガボン:ロペ国立公園への行き方を参照。
食事 / レストラン
ロペ村には小さい商店が数軒あり、その内のいくつかがロペ駅前にある。売られている物はパン、缶詰等の加工食品やベットボトルに密閉されている飲み物など、長期保存ができるものばかりで、生鮮食品は全くなかった。ほとんどの物を首都であるリーブルヴィルからトラックで仕入れているとのこと。全ての店で支払いは現金のみで、言語もフランス語のみ。
レストランはロペホテル別館と同じ通りに数件が並んでおり、夜になると店先の電灯がついている。下の写真はホテルの別館の隣にあるレストランで、ロペでの2日目に昼食と夕食の2度食べに行った。写真の右下のパスタは昼食で一皿2,000XAF(一人前)、左下の鶏肉と白飯は夕食で1,500XAF(写真は一皿だが、一皿に二人前が盛り付けられている)。
レストランにはメニュー(下真中)が壁に貼ってあったが、いつも全てのメニューがあるわけではない。注文の際は、その時にあるメニューを聞いた上で、ある物を注文した。選択肢は限られていたが、両料理とも味は大味だが美味しかった。レストランにいた女性はフランス語のみだったが、一生懸命友達になろうとコミュニケーションを取ろうとしてくれた。
その他の情報
- 電力は村にある発電機で作っており、電力には限りがある。そのため、時間によって村のエリアごとに電力制限がかかる。
- 村には中学校までしかなく、高校からは車で6時間かかる別の村に住込み、祝日のみ帰って来る。
- 日中に村の中で草を食べ回っているヤギは夜になると飼い主の元に戻って行く。ヤギは何かの祝いや祭りの際に食事として提供される。